しもつかれ


 平成31年2月
加藤 慶子 (さいたま市在住)

  わが里栃木県に古くから伝わる郷土料理に「しもつかれ」というものがある。
初午(はつうま)の日に作る風習があり、お稲荷さまにお供えした記憶がある。
子供の頃祖母が作るのをよく手伝ったものだ。材料は塩鮭の頭、鬼おろしで
ダイコン、ニンジンを擂りおろす。鬼おろしとは、おろし金を粗くした木・竹など
の材料で出来ている器具である。  
  それに酒粕、刻んだ油揚げを加え大鍋に入れ、水を使わずに焦がさぬよう、
じっくり時間を掛けて煮る。料理の仕方など記したものがあるわけではなく、
材料の量が適当なので、各家庭で味は異なる。祖母は大鍋いっぱいに作り何日
も温め返して食したものだ。
  冷たくてもおいしかった。農家育ちの私は、このいい加減な作り方が好きだ。
軽量カップやスプーンを使うレシピはどうも・・・・・  
  祖母の動作の記憶をたどって、塩鮭の頭がお店に出る頃になると作って食卓に
並べる。
  その年によって鮭の塩辛さが異なるので、出来上がりは毎年微妙に違うが、
それがまたおいしい。連れ合いは酒のつまみにしている。
「しもつかれ」が郷土料理として若い人たちに愛され、伝承されていくことを願って
やまない。