オ レ オ レ 詐 欺

 
令和5年11月1日
飯島 恵子(東京出身 所沢市在住)

  息子から電話がかかってきた。公衆電話らしい「会社から送った書類を間違えて違うところに送ってしまい、気付いて急いで郵便局に行ったけどすでにそこから出てしまった。どこの局にあるのかその局が分かったら取りに行く。自分の携帯は今ロッカーに入れてしまって郵便局からの電話が受け取れないから、ここの(私の家)番号を教えたので、日本郵政の第一集配営業部中村さんから電話があったら書類がどこにあるのか聞いておいて欲しい」とのこと。会社には内緒にしたいから・・・と。しばらくして息子から電話があり「郵便局から電話あった?」「ないわよ」会社の上司に報告したらしい。「何やってるんだ!」と叱られ、相手の会社の人も来て上司は土下座して謝っていて大変なことになっていると言う。
  しばらくしてまた電話があり、「部長は書類は作り直せばいいからと言ってくれてる。ただその間違えた書類の中に何とかカードが入っていて、他人に使われないよう手配はしたけど、相手に支払わなければならないお金を、部長の奥さんが立て替えると言っていて、それは自分のミスだからまずいので・・・
  でも今はまとまったお金が自分にはなくて、返ってくるお金だけど一時貸してくれる?」「幾らなの?」「100万円」ここまで来たらオレオレ詐欺にそっくり!しかし電話の相手の声は息子に間違いないのである、母親だから分かる。
それでも私は言った「そんな大変なこと、申し訳ないけど電話だけで決められない。そんな大金は出せない」と。「そうだよね」私「役に立てなくてゴメン。良いほうに解決するよう、祈っているから」息子「ありがとう」これで終わった。オレオレ詐欺でなく確かに息子だったが正直オレオレ詐欺であって欲しかった。だって息子だもの。重大な失敗をして本当に困っているなら助けたい。しかし我が家の恥をさらすようだが、息子家族とはうまく付き合えてなく、ただ親として息子にとり良かれと思うことは協力する程度の付き合いなのですぐに連絡を取ることは控えた。詐欺にひっかかった親が皆言うように息子の不祥事はお嫁さんにも知られたくないと言う気持ちが分かる。その後息子からは何の連絡もなくどうなったのか心配はしていた。
  しかし、1,2か月後に又公衆電話からの呼び鈴が鳴り、取ると「郵便局から電話あった?」と聞く。先日の息子の声に似ていたのでドキッとするが2コトと3コト話したら息子の声でないことに気づき「あの~あなたどなたですか?」「…」「え?」プツンと切れた。1,2か月前のはやはりオレオレ詐欺だったのか…!今だに前の電話は私の息子だと思っている私である。 。